教育の国家統制に反対する意見書の趣旨説明

07年6月の本会議で教育関連3法に反対する意見書の趣旨説明を行いました。以下は議場での説明です。
 市川市選出の岡田幸子です。日本共産党を代表し、発議案第28号、教育の国家統制に反対する意見書の提案理由を述べます。
 6月20日、参議院本会議で強行可決された教育3法は、日本の教育制度を根本から変えて、子ども、教員、学校、教育委員会などの教育現場に、上からの統制を強めるものです。この強行に対し、千葉県議会として、強い抗議の意思を表明すべきであると考えます。

 本決議案提出の1つ目の理由は、あまりにも国民の声を無視した、乱暴なやり方で採決が強行されたことです。通常は1年以上かかる中央教育審議会の審議を、安倍首相の指示で、わずか1ヶ月に短縮し、3月30日に、法案はかけこみで国会提出されました。衆議院では、教育の課題を審議する文部科学委員会ではなく、連日審議が可能な特別委員会の設置を強行しました。参議院では、中央公聴会すら開かれませんでした。初めから終わりまで、まさに異常ずくめというほかはありません。
 昨年12月の教育基本法改悪に続き、教育3法においても、またしても反対世論や慎重審議を求める国民の声を無視して、強行成立させたことは、民主主義に反することはもちろん、理解や納得を重んじるべき教育の条理にも反するものとして、厳しく抗議をしなければなりません。

 2つ目の理由は、今回可決された教育3法が、子どもに対しても、教員に対しても、教育委員会に対しても、上からの統制を強化することにつながる点です。
 第1に子どもに対しては、改悪された「学校教育法」で、文部科学省が定めることができる範囲を、現行の「教科」から「教育課程」へと拡大し、文字どおり教育内容のすべてに文部科学省の権限が及ぶものとなっています。また、めざすべき徳目から、わざわざ「男女平等」を欠落させたうえに、「規範意識」とか「わが国と郷土を愛する態度」など多くの徳目を掲げて、その達成を義務付け、子どもたちの自由な人格形成に、国家の決めた特定の価値観で枠をはめようとしています。
 第2に教員に対しては、「副校長」「主幹教諭」などの新たな管理的職種を設定し、教員組織を上意下達の体制にしてしまいます。また、改悪された「教員免許法」で、教員免許に10年の有効期間をもうけるとしていますが、他の専門職には例の無い、こんな不安定な身分に置くことで、教員の目を、子どもにではなく、もっぱら行政の方にばかり向けさせようとするものです。これは、国家にとって都合の悪い教員を、排除することにもつながるものです。 第3に教育委員会に対しては、改悪された「地方教育行政法」で、文科省の権限を格段に強化しました。この結果、「指示」あるいは「是正」という名目で、たとえば全国いっせい学力テストへの不参加を決めた教育委員会に対して、圧力をかけることも可能になるでしょう。これは、教育委員会を「国家の末端機関」に貶めるものです。

 以上、るる申し上げましたが、今回の教育3法に盛り込まれた、このような教育への権力統制の強化は、子どもとの信頼関係を基礎とした文化的営みとしての教育の条理に、明らかに反するものです。
 日本の戦後教育は、人格の完成をかかげた教育基本法のもとで、平和を希求し、真理を尊ぶ人間の育成をめざし、何よりも、教育は国民に直接に責任を負うとの原則にたって、自主性の最大限の尊重がうたわれてきました。その教育基本法を改悪し、さらに教育3法の改悪で教育の自主性を奪い取り、権力による管理統制の強化のもとで、競争とふるいわけの教育がさらに強められようとしています。これは、首相直属の「教育再生会議」からの報告にも、はっきり示されています。「まさに教育の危機である」、私は声を大にして申し上げたいと思います。
 今、国民が願っているのは、このような方向ではなく、なによりも、過度の競争教育から子どもたちを解放することです。いじめや学力などの問題を、ていねいに解決するために、30人以下学級の実現など、国際的にも遅れている教育条件を抜本的に整備することです。教職員の力量向上のために、自発的、自主的な取り組みを奨励し、教職員が子どもや保護者にきちんと向き合えるような環境をつくること。そして地方の教育行政は、子ども、保護者、教職員、住民の意見を反映して、民主的に運営されるような改革こそが必要です。

 以上、日本共産党は、教育の条理に反して教育現場にさらなる困難を押しつける、教育3法の強行に強く抗議することを表明し、議員各位の発議案への賛同を求めて、提案説明といたします。